動物とは

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アニマリズム党が擁護しようとしている ヒトを含む動物について、その定義を明らかにし、権利の対象として想定される ヒト以外の動物の範囲について検討します。

「動物は守って、植物は守らないのか?」

ヴィーガンや活動家になると、よく聞くようになる疑問です。この場合の動物は、ヒト以外の動物を指します。

ヒトを守る理由は、ヒトには意識があり、感覚を持ち、それぞれの利害を持っているからです。誰かの利益のために、誰かを搾取するのは非倫理的です。
ヒト以外の動物は、ヒトと同様、意識があり、感覚を持っています。
一方植物は、意識や感覚は持っていません。
(*植物が意識と感覚を持っているという根拠として持ち出される論文等を読むと、人間の感覚から見ると意識と感覚を持っているようにできるような反応を見せる、例えば傷つけられると化学物質を出す等、というものであり、意識と感覚を持っていることの証明ではありません。植物には、意識や感覚を生じさせるための神経系は存在しません。)

ゆえに、「動物は守って、植物は守らないのか?」よりも、
「ヒトは守って、ヒト以外の動物は守らないのか?」という疑問の方が、科学的・論理的であり、倫理的に重要です。

では、動物とは何かについて整理していきましょう。

無生物と生物

記事内画像:図:無生物と生物

最初に、無生物と生物の違いを見てみましょう。

無生物とは、生命を持たないものの総称です。岩石や金属や、それらから作られたモノなどです。
生物とは、生命を持つものの総称です。細菌や真核生物などであり、植物や動物は生物です。

生命の条件・定義は数多くありますが、代表的な定義は以下です。

  • 膜によって、内部と外界が仕切られている
  • 細胞によって、組織化されている
  • 代謝を行う(物質を取り込み、エネルギーに変え、組織を維持する)
  • ホメオスタシスによって、一定の状態を維持する
  • 刺激に反応する
  • 成長する
  • 生殖する

なお、「命」は、生命という意味の他、信念・象徴・宗教的感覚などを表す言葉として、より広く曖昧に用いられています。

日本人と、無生物と生物

日本では、無生物と生物の違いを、曖昧なまま認識する傾向にあるようです。

日本人の伝統的な認識は、アニミズム・八百万の神であり、無生物にも生物にも神が存在するというものです。この認識には、モノや生命を分け隔てなく大切にするという良い側面があります。

一方、モノと同じ感覚で生命を捉えることができるため、その場の気分や利益などで、生命を自由自在に解釈し、大切にしたり搾取したりするという側面もあります。例えば、ヒト以外の動物を可愛がり、飽きたら、遺棄する、殺して食べるなどです。
さらには、自分の利益のためには、神をも殺すこともできます。例えば、物や野生動物を、神と崇めながら破壊し殺害します。

この、「日本人の一部は無生物と生物を明確に区別しない」という条件は、日本の動物擁護が遅々として発展しない遠因になっているのではないかと考えています。

生物の進化

次に、生物の進化とカテゴリーを見てみましょう。

記事内画像:図:系統樹:原核生物→真核生物

地球が生まれたのは、46億年前です。
最初の生物は、38億年前、真正細菌(バクテリア)として生まれました。28億年前古細菌(アーキア)が分岐し、21億年前真核生物(ユーカリア)が分岐し、5.4億年前動物が分岐し、200万年前私たちホモ・サピエンスが分岐しました。
植物の分岐は判然とはしないのですが、27億年前には光合成をする生物が存在し、4億7千万年前には確実に存在していたことがわかっています。いずれにせよ、植物と動物の分岐はかなり昔のことです。

生物は、進化の過程で分岐し、分岐した後もそれぞれの進化を続けています。つまり、「最も進化が進んだ生物はヒトである」というのは間違いで、「最も進化が進んだ生物は、現在のそれぞれの種である」ということになります。

植物と動物

次に、植物と ヒトを含む動物の違いを理解します。

植物と ヒトを含む動物は、生命という点では同じですが、全く異なる生物だということがわかります。例外はあるものの、以下のような違いがあります。

  • ヒトを含む動物には脳・神経がありますが、植物にはありません。
  • ヒトを含む動物には血液がありますが、植物にはありません。
  • ヒトを含む動物には運動機能がありますが、植物にはありません。
  • ヒトを含む動物は光合成できませんが、植物は細胞内に葉緑体を持っていて光合成することができます。
  • ヒトを含む動物は従属栄養生物ですが、植物は独立栄養生物です。
    * 従属栄養生物: 植物やヒトを含む動物から有機物を摂取する生物
    独立栄養生物: 光と水とCO2で光合成を行い有機物を合成できる生物
  • ヒトを含む動物は骨格によって体を支えますが、植物は細胞膜の外にある細胞壁によって体を支えます。

動物の進化

記事内画像:図:系統樹:動物

次に、ヒトを含む動物の進化とカテゴリーを見てみましょう。

ヒトを含む動物は、大きく、背骨がない無脊椎動物と、背骨がある脊椎動物に分けられます。

無脊椎動物には、外骨格で体を支える節足動物(昆虫や甲殻類など)や、骨がない軟体動物や海面などがいます。
脊椎動物は5種類、魚綱、両生綱、爬虫綱、鳥綱、哺乳綱です。

日本の動物法と対象動物

記事内画像:図:日本の動物法と対象動物

ほとんどの法律は、ヒトのために作られており、ヒト以外の動物のための法律は動物法と呼ばれます。
ヒト以外の動物のカテゴリーの理解は、動物愛護管理法や鳥獣保護管理法など、動物法の対象動物の範囲の理解に役に立ちます。

動物愛護管理法は、すべての ヒト以外の動物を対象としますが、法の適用はさまざまです。
例えば、脊椎動物のうち、[野生の爬虫類]と、[すべての両生類・魚類]については虐待や殺害の罰則はありません。罰則が適用されるのは、[人が占有する哺乳類、鳥類、爬虫類]と[愛護動物]のみです。

鳥獣保護管理法は、[野生の哺乳類・鳥類]と、[愛護動物のうち野良犬と野良猫]を狩猟の対象とします。[脊椎動物のうち野生の爬虫類・両生類・魚類]と、[無脊椎動物]は対象外であり、自由に狩猟することができます。

いずれにせよ、「脊椎動物か無脊椎動物か」や「どの綱に属しているか」によって、守られる範囲が決まります。

アニマリズム党は、最終的にすべての ヒト以外の動物に権利を獲得し法的に守ることを目的としています。その目的を実現するために、法律によって保護され罰則が適用される ヒト以外の動物の範囲の拡大を目指します。

権利の対象として想定される「ヒト以外の動物」の範囲

ヒト以外の動物を、法的な権利の対象として社会に包摂していく際、すべての ヒト以外の動物を一気に対象とすることは難しいでしょう。
法整備・経済・雇用など人間社会へのインパクトはもちろん、動物種ごと、さらには個々の動物ごとにどのような権利を設定するのか、共存をどう行うのかなど解決すべき問題は大きなものになります。

最初に権利の対象になると考えられるのは、大型類人猿(ゴリラ、オランウータン、チンパンジー、ボノボ)や類人猿(テナガザルなど)、ゾウや鯨類など、高度な認知能力や知性があるとすでにわかっている動物です。実際、GAPや、Nonhuman Rights Project(NhRP)が、権利を求め法廷闘争などを行なっています。

一方、意識や有感性が科学的に確認されていない ヒト以外の動物に関しては、権利の対象にするのが遅くなると予想されます。

ヒト以外の動物を権利の対象にするには、倫理の発展と科学の発展の両輪が必要であり、それらの進展とともに、権利の範囲も拡大していくと予想されます。


これまで見てきたように ヒトを含む動物と植物は5.4億年前に分岐した異なる生物であり、守る根拠は意識や感覚、固有の利害を持つことなどであることがわかりました

次に、「動物の意識」について見てきましょう。

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