野生動物と人間
近年、クマやシカ、日本猿や外来野生動物と、人間の軋轢とその解決法が、議論の的になっています。
野生動物を殺すことによって解決しようとする人々と、野生動物を殺すことを認めない人々が対立し、その間で解決を試みようとする人々もいます。
この状況は、ヨーロッパではオオカミとの軋轢、アフリカや南アジアではゾウとの軋轢など、世界中で起こっています。
そして動物種や状況は違えど、軋轢を解決するためのアイデアや手法の開発が試みられています。
このページでは、野生動物と人間の軋轢を整理し、解決するための手法を学びます。
関係の変化
野生動物と人間の関係は、歴史と共に変化してきました。
かつて、野生動物に捕食され、捕食する関係であった人間は、やがて野生動物を一方的に捕食するほどの力を手に入れました。そして野生動物を家畜化し、捕食し続けることによって、多くの野生動物を減少させ、絶滅させました。
人間は野生動物の危機的な状況に気付き、野生動物を保護するようになりました。しかし、現在、哺乳類のバイオマスの割合は、家畜動物60%、人間36%に増加し、野生動物は4%にまで減少しています。
この異常な割合に気づかず、野生動物の殺害を支持する人々もいます。
日本の状況
人間の被害
殺される人間の数
クマによる人間の被害者数は219人、内死亡者数は6人。
イノシシによる人間の被害者数は67人、内死亡者数は0人です。
[?] クマに関する各種情報・取組. 環境省. https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/effort12.html, (参照 2025/01/03).
[?] R05年度人身被害件数. 環境省. https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/r05injury-qe.pdf, (参照 2025/01/03).
[?] イノシシによる人身被害について [速報値]. 環境省. https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/inoshishi.pdf, (参照 2025/01/03).
農作物被害
野生動物の被害
殺される動物の数
日本で殺害されている動物数は以下。一例として2017(平成29)年度の狩猟などによって殺されている野生動物の数を見てみます。数が多い順に示します。
動物種 | 殺害数 |
ニホンジカ | 569,215 |
イノシシ | 543,758 |
タヌキ | 32,570 |
ニホンザル | 23,035 |
アナグマ | 20,220 |
キツネ | 10,216 |
ノウサギ | 6,482 |
ツキノワグマ | 3,489 |
ヒグマ | 846 |
カモシカ | 571 |
テン | 414 |
毎年、膨大な数の動物が殺されていることがわかります。その一頭一頭に意識や感情があり、計り知れない恐怖と苦痛を感じながら殺されていることを忘れてはいけません。
なお、2020(令和2)年度時点で交付された狩猟免許数は、21万8,495件(罠猟11万8946人、銃猟9万35人、網猟7,537人、空気銃猟1,977人)です。
[?] 令和2年度鳥獣統計情報 狩猟免状交付状況. 環境省. https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs2/r02/R2-01.xls,, (参照 2024/08/25)
動物たちの恐怖と苦痛
恐怖
もしあなたが、あなたを殺そうとする武装した集団に、逃げても逃げても追いかけられたらどう感じるでしょう。その集団は、あなたやあなたのパートナー、あなたの子供を追い詰め、殺し、皮を剥ぎ、食べようとしています。それが動物が感じる恐怖です。動物の目線になって、これらの動画を見てみてください。
ヘリコプターからの狩猟
アザラシの撲殺
日本のイルカ猟
苦痛 〜動物の体に起きていること〜
動物たちは殺されるときばかりではなく、狩猟者に追われているときや、罠に捕まったときにも苦痛を感じています。捕獲性筋疾患(Capture Myopathy)とは、捕獲されるときに起こる筋肉の破壊、けいれん、こわばりなどです。ひどい場合は不可逆性の疾患となり、障害を抱えます。
自分を殺そうとする狩猟者への恐怖を抱きながら、筋肉の限界を超えて逃げるために起こります。
動物の殺され方
動物が殺される方法は以下です。
止め刺し: 刃物で、心臓や頸動脈を刺して殺す。
電気止め刺し: 電殺器を突き刺し、電気ショックを与え感電死させる。
銃殺: 猟銃で撃ち殺す。
撲殺: 棍棒やバットで殴り殺す。
窒息: 密閉された箱に動物を入れ、ガスを注入し窒息死させる。
溺死: 捕獲した箱罠ごと、川などに動物を沈め、窒息死させる。
いずれも強い恐怖と苦痛を伴うものであり、有感動物に対して行うべきことではありません。自分が檻に入れられ、水に沈められ、徐々に窒息していくことをできるだけリアルに想像してみます。やってはいけないことだとわかるでしょう。
筆者にはアライグマを溺死させた知り合いがいますが、彼は本来優しい人です。出会い方が違ったら友達になれたかもしれません。
解決方法
殺害
殺害
共存
共存