人は、娯楽のために動物を利用することを当然だと思っています。
しかし娯楽のために利用されている当事者が、どんな思いをし、どんな生を生きているかについて想像する人は、あまり多くないでしょう。
アニマリズム党は、すべての動物の娯楽利用の廃止を主張しています。
以下で、動物の娯楽利用を概観し、それぞれの問題点を見てみます。
動物の娯楽利用
ペット
ペットに関する問題は、多岐に渡ります。
ペット産業 :ペットショップの生体販売、悪徳ブリーダー、パピーミル、引取り屋、血統書、繁殖に適さない動物の繁殖(短頭種等)、密輸、絶滅危惧種の密輸、動物捕獲地の生物多様性の破壊や環境破壊
所有者:所有、多頭飼育、違法飼育、高齢者のペット購入、遺棄、虐待、ネグレクト、殺害
行政 :動物愛護行政の不備や不作為、野猫・野良犬が狩猟対象種とされていること
政治 :悪徳ペット業者擁護をする政治家
動物保護団体 :虐待、ネグレクト、殺害、寄付金目的の団体
動物 :逸走、野生化、外飼いの猫や野良猫が日本の在来種を殺害する問題、人への危害、農作物への被害(ただしこれらの根本原因は人間に責があります)
これらの問題は、動物擁護団体の活動な、動物愛護管理法の改正、動物愛護の気風の醸成などによって、徐々に改善してきています。
しかし、ペットに関する問題は、ペットが存在するから生じます。ペットは家畜動物の一種です。人間の都合が良いように人工的に改変され、繁殖されています。つまりペットの存在自体が、動物の権利の侵害の上に成り立っています。当分の間は難しいでしょうが、いずれ人々の意識と動物への倫理観が十分に醸成されたら、ペットの存在自体を根本的に見直すときが来ると思われます。
動物園・水族館
日本は世界で2番目に動物園が多く(3番目という説もある)、1番目に水族館が多い国です。筆者は全国ほとんどすべての動物園と水族館とそれらの類似施設(クマ牧場、動物ふれあい施設など)、計283施設の実態調査を行いました。
異常行動 :日本の動物園水族館では、動物の異常行動が常態化しています。異常行動とは、不自然な環境に監禁された動物が精神を病み、その精神の異常が行動に現れたものです。例えば、同じ場所を行ったり来たりする・ぐるぐる回る、壁に頭を打ちつける・自分の身体の一部を食べるなどの自傷行為、首を回す、動かなくなるなどです。これは、刑務所などに監禁された人間にも起こる症状であり、拘禁症とも呼ばれます。
日本のほとんどすべての動物園で、動物の異常行動がみられました。しかし、その行動が異常行動であると、観客にわかる掲示をしていたのは、たった1施設、1箇所のみでした。動物園関係者や飼育員は、当然、異常行動について知っています。異常行動は、動物園が知られたくない不都合な真実の一つです。
高知の動物園では、うつ病になったチンパンジーに抗うつ薬を与え、日本動物園水族館協会は、その手法を讃え、表彰しています。
水族館ではイルカなどが、プールの底に頭を打ちつけるなどの異常行動をしています。いるかが、同じ水槽の他のイルカをいじめ殺したと思われる施設もありました。
怪我・病気・薬漬け :怪我をし、病気になっている動物も多く存在します。例えば、イルカは、不自然で、不潔なプール、あるいは消毒液が入ったプールに監禁され、冷凍の魚などを与えられているため、胃腸の病気、皮膚病、アレルギー、目の病気などにかかっています。それらの病気を治療するため、抗生物質やアレルギー薬などの薬、自然界では不要なビタミン剤などを与えられています、
動物保護施設 :動物園水族館は、動物を保護し守る施設だと思われています。しかし、守る動物と、殺す動物では、殺す動物の方が圧倒的に多いのが現実です。例えば動物園の中には、飼育員自身が、男の子のひよこ(採卵鶏のオスは卵を産まないので即座に殺される)や、施設で育てたハツカネズミ等を、床や机に叩きつけたり脊椎脱臼法で殺害し、動物に与えている施設もあります。
園内リサイクル :上記のように、動物を展示して、ふれあい動物園で触らせたのちに、成長したり不要となるなどしたら、殺して、他の動物に食べさせることを、園内リサイクルと呼びます。
その他 近親交配、余剰動物の殺害、過密飼育、動物同士の闘争・殺害、不潔な飼育環境、動物福祉が考慮されていない展示施設など、動物園水族館は問題だらけです。
サーカス
日本で動物を使ったサーカスを行っているのは、あと1事業者です。西欧ではサーカスが軒並み中止となっており、動物を利用したサーカスを法律で禁じた国にもあります。サーカスが残っているのは、ロシアやアジアなど、動物権利後進国です。
サーカスで利用されている動物は、監禁され、暴力と虐待によって調教され、生涯を支配されています。そのため、異常行動を起こし苦しんでいます。
サーカスから脱出したゾウのタイクは、世界中の涙を誘いました。
日本でも、浅草花やしきの象など、悲惨な生涯を送った動物もいますが、あまり知られていません。
戦わせる
動物を戦わせる遊びは、世界中で行われてきました。闘犬/闘牛/闘馬/闘鶏/闘鳥/闘魚/闘虫などです。メジロの鳴き合わせも戦いの一部でしょう。
動物は、人間もですが、育て方によって、凶暴で暴力的にもなれば、穏やかで優しくもなります。戦わせられている動物たちも、育て方によっては、お互い仲良くなれたかもしれませんし、そうなったでしょう。人間の都合、ただの遊びで生涯を狂わされた動物は可哀想であり、取り返しもつきません。
動物を戦わせる遊びを行う人々は世界共通でギャングなどの暴力集団であることが多いです。動物を戦わせる遊びは、人間にも悪影響を与えます。
世界的には、動物を戦わせる遊びは中止の方向に進んでいます。いずれすべての動物を戦わせる遊びは、廃止されるでしょう。アニマリズム党も、その一翼を担います。
競わせる
動物を競わせる遊びには、競馬、ドッグレース、コーシング(犬にルアーと呼ばれる目印を追いかけさせて競わせる)などがあります。
日本では特に、国営ギャンブルである競馬が問題です。馬は、競馬のためだけに生まされ、不要となった馬のほとんどが殺害され、人間に食べられます。
一方、人間の側の問題もあります。競馬は巨大産業であり、官僚も天下り先となっています。競馬をやる人の中には、一定数ギャンブル中毒となるひとがおり、家族や人生、生命までをも失うこともあります。
一部の人々の欲のために、動物や人間を犠牲にする社会は変えなければなりません。
アニマリズム党は、競馬の廃止を目指します。
使役する
動物の使役は、人間が動物を家畜化した1万2000年前から連綿と続いてきた行為です。現代日本では、荷役や牛車、馬車などは、観光目的以外は廃れました。しかし、今でも、フクロウカフェやエキゾチックアニマルカフェ、乗馬などに使われています。
戦争の道具として使われている動物もいます。生物兵器などの実験動物や、侵入者や機雷などを探査するために使われるイルカなどです。アメリカ、ロシア、北朝鮮などがイルカを戦争の道具として利用しており、ロシア – ウクライナ戦争でも利用されています。
祭り/儀式/生贄
動物を、宗教的儀式や生贄に使うことも、人類の長い歴史の中行われてきました。
現代でも世界中で行われており、ネパールのガディマイ祭り、スペインのトロジュビロ、同じくスペインの牛追い祭などが有名です。
日本では、カエルを生贄にしている諏訪大社蛙狩神事、馬を利用する熊本県藤崎八幡宮例大祭、沖縄のアヒル取り競争などが問題となっています。
虐待
動物への虐待は、人間社会の不具合の現れです。
これまで、動物虐待事件や動物虐待コミュニティ(こげんた事件、ブリーダーや動物保護団体の虐待事件、生き物苦手板、面白い虐待の仕方等)は、大きな社会問題となってきました。
さらには、動物虐待が人間への暴力や殺害に深く関係している事件も多数起こってきました。神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇聖斗)などです。
動物虐待が、人間への暴力行為や殺害につながることわかっています。つまり、動物虐待を止めることは、人間への暴力行為や殺害を止めることにつながります。
重要なのは、法的に罰せられる虐待のみが動物虐待なのではなく、現在当然とされている、飼育(監禁)や屠殺(殺害)、肉食(カニバリズム)も動物虐待に他ならないということです。社会全体として動物虐待を不可視化し、目を背けていることが、社会の不具合を生んでいます。
この現実を直視し、根本的に社会の常識や価値観をを変え、システムを変えていくことが必要です。
命の教室
日本では、命の教室と称し、動物を虐待し、殺害する教育が行われています。
子どもにブタを育てさせ、そのブタを殺害して、食べさせたり、動物を殺した経験のない大人たちが抵抗できないニワトリを殺害し解体したりなどする教育です。
ここで教えていることとは、他者の命を大切にすることを教える教育でしょうか。
それとも、他者に暴力を振るい、命を奪い、自分の欲を満たすことを教える教育でしょうか。
もし前者でしたら殺すことはしません。親の命の大切さを知るために、親を殺しはしません。
非ヒト動物という弱者に、暴力を振るい、殺害する教育を行っている社会において、
ヒトのうち子供や女性や障害者などの社会的弱者に、暴力を振るい、殺害を実行する人が出てくるのは当然の帰結でしょう。
命の授業は、動物にも人間にも極めて大きな悪影響を与えています。
動物を娯楽利用してはいけない根拠
動物、少なくとも脊椎動物と無脊椎動物の一部は、ほぼ確実に意識を持ち、意思、感覚、感情などを持っていると科学的にわかっています。(2012 ケンブリッジ宣言、2024 ニューヨーク宣言)
私たちヒトと同様の意識等を持っているとわかっている非ヒト動物に対し、彼らの意思や感情を無視して、利用し、搾取し、苦痛を与え、殺害することは間違っています。
その他、動物を利用していけない根拠は、様々な立場から、様々に論じられています。「動物権利図書館」に参考文献を紹介しています。
動物を利用しない娯楽
動物を利用しない娯楽はたくさんあります。
人工的な施設だったら、遊園地、ディズニーランド、USJ、チームラボのようなデジタルアミューズメント施設、プール、スキー場
自然だったら、登山、ハイキング、海水浴、シュノーケリング
その他、スカイダイビング、バンジージャンプなど。
ギャンブルが好きな人であれば、競艇、競輪、オートレース、宝くじなど(アニマリズム党は賛成していません)。
自分で遊びを作る
与えられた娯楽ではなく、自分で遊びを作って自分で遊ぶことは、想像力や創造力を高めます。子供の頃にどれだけ自分で遊びを作ったかは、大人になってからの創造力に大きな影響を与える可能性があります。
市民活動
ゴミ拾いなどの環境活動や、社会的弱者の支援活動、動物を守るための動物権利活動など、他者のために行う利他的な行動は、他者のためになるばかりではなく、自分自身の深い思考力や精神性を育み、より良く、充実した人生を送ることに繋がります。
退職した人が、ボランティアなどの社会貢献をし始めるように、自分自身が楽しむ段階を経たのちに、他者のために行動するようになり、生きがいのある豊かな余生を過ごす人がいます。であれば、たった今から他者のための活動をすれば、今から生きがいのある豊かな人生を生きることができます。
ぜひ動物権利・解放活動に参加してください。